近年、キャッシュレス決済の普及に伴い、クレジットカードの利用が一般的になってきました。日本人の平均クレジットカード保有枚数は3枚程度ですが、自分に最適な枚数が3枚とは限りません。
本記事では、クレジットカードの適切な所有枚数や、複数枚持つことのメリット・デメリットについて詳しく解説します。記事を読むことで、自分に必要なクレジットカードの枚数がわかります。自身に合ったクレジットカードの活用法を見つけてください。
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クレジットカードは何枚まで持てる?
クレジットカードの所有枚数に関する基本的な情報を解説します。法律上の制限と実際の平均所有枚数について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
クレジットカードの枚数に関する法的な制限
クレジットカードの所有枚数に関して、法律で定められた制限はありません。必要に応じて何枚でも所有できます。カード会社ごとに審査基準が異なるため、申込時にはそれぞれの基準のクリアが必要です。年齢や職業、年収、過去の利用履歴などが審査の対象です。
複数のクレジットカードを持つことで、信用情報に影響が出る可能性もあります。カード会社は新規申込の際、既存のカード情報も考慮するからです。多重債務を防ぐため、既存の借入状況も確認されます。
短期間に多くのクレジットカードを申し込むと、審査に通りにくくなります。クレジットカードの申込みは、半年程度の間隔を空けるのが賢明です。
クレジットカードの平均的な所有枚数
日本人のクレジットカード所有枚数は、平均して約3枚です。一般社団法人日本クレジット協会の調査結果に基づいています。2023年3月末時点で、クレジットカードの発行枚数は約3億860万枚です。あくまで平均値であり、実際には1枚しか持たない方もいれば、5枚以上持つ方もいます。
国際比較をすると、アメリカでは平均4枚程度、ヨーロッパでは平均して2〜3枚程度が一般的です。近年のキャッシュレス化の進展により、日本でも複数枚のクレジットカードを持つ方が増えています。所有枚数は個人の生活スタイルや金融リテラシーによっても大きく異なります。自分に合った枚数を選ぶことが重要です。
クレジットカードを何枚も持つメリット
クレジットカードを複数枚持つことには、いくつかの大きなメリットがあります。代表的なメリットを詳しく見てみましょう。
» クレジットカードのメリット・デメリットを解説
利用できる特典やサービスの幅が広がる
クレジットカードを複数枚持つことで、利用できる特典やサービスの幅が大きく広がります。各クレジットカードには独自の特典やサービスがあるため、複数のクレジットカードを組み合わせることで、多くのメリットを享受できます。主な特典やサービスは以下のとおりです。
- ポイント還元
- マイル
- 旅行保険
- 空港ラウンジの利用権
- ショッピング保険
日常の買い物にはポイント還元率の高いカード、旅行時には保険が充実したカードを使うなどの使い分けが可能です。複数枚を戦略的に活用することで、より豊かな生活を送れます。クレジットカードの特典を最大限に活用するためには各特徴をよく理解し、適切に使い分けることが重要です。
ポイントが効率よく貯まる
クレジットカードを複数枚持つことで、効率的にポイントを貯められます。クレジットカードごとにポイント還元率が異なるため、使い分けることで最大限のポイントを獲得可能です。ガソリンスタンドやスーパーなど、特定の買い物で優遇されるクレジットカードを、場面に応じて使い分けます。
期間限定のポイントアップキャンペーンなども見逃さないようにしましょう。戦略的にクレジットカードを使うと、年間で数万ポイント以上の差が出ます。
緊急時やトラブル時に対応しやすい
複数枚のクレジットカードを持っていれば、緊急時やトラブル時にも柔軟に対応できます。予期せぬ事態に遭遇した際、複数の選択肢があることは大きな安心材料です。緊急時やトラブル時に複数のクレジットカードが役立つ状況は以下のとおりです。
- クレジットカードの紛失や盗難時
- システム障害による利用不可
- 利用限度額の超過時
- 海外旅行中のトラブル
- 急な出費が必要な場合
海外旅行中にメインのクレジットカードを紛失しても、予備があれば旅行を続けられます。大きな災害時に現金が不足した場合でも、複数のクレジットカードがあれば必要な物資を購入しやすいです。複数のクレジットカードを持つことは、いざというときの保険のような役割を果たします。
国際ブランドの使い分けができる
クレジットカードを複数枚持つことで、異なる国際ブランドを使い分けられます。各国際ブランドには特徴があり、利用できる店舗や特典はさまざまです。主な国際ブランドと使い分けるメリットは以下のとおりです。
- VISA:世界中で幅広く普及している
- Mastercard:海外ATMの利用に強い
- JCB:国内の小規模店舗でも使いやすい
- American Express:魅力的な特典が豊富にある
- Diners Club:高級店での優遇が多い
海外旅行の際にVISAとMastercardの両方を持っていれば、より多くの店舗やATMで利用できます。国内では、JCBクレジットカードが小さな商店でも使いやすいです。高級レストランではDiners Clubの優遇サービスを利用するなど、状況に応じた使い分けができます。
» クレジットカードの国際ブランドとは?特徴や選び方のコツを紹介
クレジットカードを何枚も持つデメリット
クレジットカードを複数枚持つことにはメリットがある一方で、いくつかの注意すべきデメリットもあります。代表的なデメリットを見てみましょう。
管理が煩雑になる
各クレジットカードの支払日や利用明細の確認、ポイントの有効期限の管理など、チェックすべき項目が増えて面倒です。3枚のクレジットカードを持っていて、それぞれ支払日が異なる場合、毎月3回の引き落としを管理する必要があります。残高不足で引き落としができないなど、トラブルにつながる可能性が高いです。
複数のクレジットカードを使い分けることで、全体の支出を把握しにくくなる恐れもあります。食費と交通費を別のクレジットカードで支払っていると、月々の出費の全体像が見えにくいです。家計管理の観点から問題になる場合もあります。
各クレジットカードの更新時期や特典の変更なども個別に把握する必要があり、情報収集や対応の手間が増えます。管理の煩雑さを軽減するためには、家計簿アプリの活用や定期的なチェックリストの作成などの管理方法が効果的です。
年会費や手数料がかかる
クレジットカードを複数枚持つと、年会費や手数料の負担が増えます。クレジットカードによっては年間1万円以上の年会費がかかるものもあり、複数枚持つと経済的な負担として大きいです。年会費が5,000円のクレジットカードを3枚持つと、年間で1万5,000円の出費になります。
クレジットカードの種類や利用方法によって、さまざまな手数料がかかります。キャッシング利用時の手数料や海外利用時の為替手数料、リボ払いの手数料など、予想以上の出費になりかねません。
年会費や手数料を抑えるには、無料のクレジットカードを選ぶか、年会費の優遇条件を確認することが大切です。利用頻度の低いクレジットカードは解約を検討し、本当に必要なクレジットカードだけを残しましょう。
紛失や盗難の恐れがある
クレジットカードを複数枚持つと、紛失や盗難のリスクが高まります。クレジットカードの枚数が増えるほど、管理が難しくなります。財布にたくさんのクレジットカードを入れていると、1枚のクレジットカードがなくなっても気づきにくいです。
盗難に遭った場合、被害が大きくなる可能性もあります。複数のクレジットカード情報が盗まれると、不正利用のリスクが高まり、被害額が膨らむ恐れがあるからです。3枚のクレジットカードが盗まれた場合、それぞれのクレジットカードの利用限度額分の被害が発生する可能性があります。
紛失や盗難のリスクを減らすには、以下のような対策が効果的です。
- クレジットカードの所在を定期的に確認する
- 利用頻度の低いクレジットカードは自宅保管する
- カード会社の連絡先を控える
- 利用通知サービスを活用する
- 暗証番号を適切に管理する
クレジットカードを複数枚持つ方は、日頃から上記の対策を心がけ、万が一の事態に備えましょう。クレジットカードの紛失や盗難に気づいたら、すぐにカード会社に連絡し、利用停止の手続きを取ることが重要です。
使いすぎる恐れがある
クレジットカードを複数枚持つと、使いすぎてしまうリスクが高まります。手元に現金がなくても買い物ができるため、つい衝動買いをしてしまいます。3枚のクレジットカードをそれぞれ10万円ずつ利用すると、合計30万円の支払いが必要です。
複数のクレジットカードを使うと、全体の支出が把握しにくくなります。各クレジットカードの利用明細を確認しないと、実際の支出がわからず、予想以上の金額になることが多いです。リボ払いを利用すると毎月の支払額は少なくても、長期的には多額の利息を払わなければなりません。
使いすぎを防ぐために、以下のような対策を取りましょう。
- 毎月の予算を決める
- 適切な利用限度額を設定る
- 利用明細を定期的にチェックする
- ポイント還元だけで選ばない
- リボ払いの利用を控える
- 衝動買いを避ける工夫をする
上記の対策を実践し、計画的な支出を心がけることで、クレジットカードの使いすぎを防げます。自分自身の消費傾向を把握し、適切な利用限度額を設定することも大切です。
クレジットカードを何枚も持つ際の注意点
クレジットカードを複数枚持つ際は、いくつかの重要な点に注意する必要があります。クレジットカードを安全かつ効果的に活用したい方は参考にしてください。
必要な枚数を明確にする
クレジットカードを何枚持つかを決める際は、自分のライフスタイルや支出パターンをよく考えることが大切です。必要以上にクレジットカードを持つと管理が難しくなるため、本当に必要な枚数を見極めましょう。日常の買い物用や旅行用、ビジネス用など用途別にわけて考えてください。
クレジットカードの特典や利用頻度を考慮し、以下のような基準で枚数を決めるのがおすすめです。
- メインクレジットカード:日常利用全般
- サブクレジットカード:特定の用途や緊急時
- 専門クレジットカード:特定店舗や旅行など
一般的には2~3枚程度が管理しやすい枚数とされています。ただし、個人の状況によって最適な枚数は異なります。自分の生活スタイルに合わせて、必要最小限の枚数を選びましょう。不要なクレジットカードは解約し、管理しやすい状態を保つことが大切です。
申込みのタイミングを考慮する
クレジットカードの申込みは、慎重にタイミングを選ぶ必要があります。短期間に多くのクレジットカードを申し込むと、信用情報に悪影響を与えるため注意が必要です。一般的に、クレジットカードの申込みは半年程度の間隔を空けましょう。
申込みのタイミングとして適しているのは、年収が上がったときです。収入が増えると、審査に通りやすくなる傾向があります。カード会社がキャンペーンを実施している時期を狙うのも効果的です。入会特典が充実していることが多いからです。
既存のクレジットカードの年会費請求が近づいてきたときも、新しいクレジットカードを作るタイミングとして適しています。就職や結婚、出産など、ライフスタイルの変化に合わせてクレジットカードを作るのも一案です。新しい環境に合ったクレジットカードを選べます。
利用額を定期的に確認する
クレジットカードを複数枚持つ場合、利用額を定期的に確認することが重要です。各クレジットカードの利用状況を把握し、支出を管理することで使いすぎを防げます。毎月の締め日後にすべてのクレジットカードの利用明細をチェックする習慣をつけるなどの対策が有効です。利用額の確認方法は、以下のとおりです。
- カード会社のアプリを活用する
- WEBサービスで明細を確認する
- 利用通知メールを設定する
- 家計簿アプリと連携する
- 紙の利用明細書を確認する
定期的な確認により、不正利用の早期発見にもつながります。利用額が予想以上に多ければ、支出を見直す良い機会です。クレジットカードごとの利用傾向を把握し、より効率的なクレジットカードの使い分けにも役立ちます。利用額の確認を習慣化し、健全な家計管理を心がけましょう。
セキュリティ対策を徹底する
クレジットカードを安全に利用するには、セキュリティ対策の徹底が欠かせません。クレジットカード情報の保護や不正利用の防止のために、いくつかの重要な対策があります。以下に、クレジットカードのセキュリティを高めるための対策をまとめました。
- 暗証番号は生年月日以外に設定する
- クレジットカード裏面にサインをしておく
- 利用限度額を適切に設定する
- 不要なクレジットカードはすぐに解約する
- カード会社の連絡先を控える
- カード会社が提供する不正利用検知サービスを活用する
- 利用通知メールサービスを活用する
定期的に利用明細をチェックし、身に覚えのない請求があれば、すぐにカード会社に連絡しましょう。複数のクレジットカードを持つ場合は、各クレジットカードの管理をしっかり行い、紛失や盗難に気をつけてください。
クレジットカードを何枚にするか決めるポイント
クレジットカードの枚数を決める際は、自分の生活スタイルや利用目的をよく考えることが大切です。クレジットカードを何枚にするか決めるポイントを押さえましょう。
» クレジットカードを選ぶ際の基礎知識と目的別の選び方を紹介
支出管理の方法を見直す
クレジットカードの枚数を決める前に、自分の支出管理の方法を見直すことが大切です。複数のクレジットカードを持つと、支出の把握が難しくなります。効果的な支出管理の方法は以下のとおりです。
- 家計簿アプリを活用する
- 支出をカテゴリーごとに分ける
- 固定費と変動費を区別する
- 毎月の予算を立てる
- 定期的に支出を見直す
支出管理がしっかりできていれば、複数のクレジットカードを持っても問題なく管理できます。支出管理が苦手な場合は、クレジットカードの枚数を最小限に抑えるのが賢明です。自分の生活スタイルに合わせて、適切な支出管理の方法を選びましょう。
クレジットカードの利用目的を明確にする
クレジットカードを選ぶ際は、利用目的を明確にすることが重要です。主な利用シーンを考え、自分に合ったクレジットカードを選びましょう。日常の買い物が中心なら、ポイント還元率の高いクレジットカードが適しています。頻繁に旅行する方なら、マイルが貯まりやすいクレジットカードが便利です。
良く利用する店舗も考慮に入れましょう。特定の店舗やチェーンで優遇されるクレジットカードを選べば、より多くの特典を受けられます。海外で使用する機会が多い方は、海外旅行保険が付帯しているクレジットカードを検討します。為替手数料が安いクレジットカードもおすすめです。
ポイントの使い道も重要な選択基準です。現金やギフト券に交換できるポイントが良いか、特定のサービスで使えるポイントがほしいか、自分のニーズに合わせて選びます。年会費がかかるクレジットカードの場合は、利用頻度や特典の内容を吟味し、費用に見合う価値があるかどうかを検討してください。
ポイント還元率や特典内容を確認する
クレジットカードを選ぶ際は、ポイント還元率や特典内容をしっかり確認しましょう。クレジットカードによって還元率や特典が大きく異なるため、自分のライフスタイルに合ったものを選ぶことが大切です。クレジットカードの特典やポイントプログラムには、以下のようなものがあります。
- 現金やギフト券への交換
- 航空会社のマイルへの移行
- 提携店舗での割引や優待
- 旅行保険や購入保証
- 空港ラウンジの利用
食料品の購入が多い方なら、スーパーでの還元率が高いクレジットカードが有利です。ポイントの有効期限や最低交換ポイント数にも注意してください。年会費がかかるクレジットカードの場合、特典やポイントで年会費以上の価値があるかどうかが重要です。
複数のクレジットカードを比較し、自分にとって最も価値のある組み合わせを見つけましょう。特典に惑わされて、必要以上にクレジットカードを作らないよう気をつけてください。
まとめ
クレジットカードの枚数は、個人の生活スタイルや利用目的によって異なります。一般的には2~3枚程度が管理しやすいとされていますが、自分に合った枚数を見極めることが大切です。複数枚持つことでメリットを最大限に活かせる一方、管理の手間やリスクも増えます。
自身の支出管理能力を考慮し、セキュリティ対策を徹底しながら、賢くクレジットカードを活用しましょう。適切な枚数と種類のクレジットカードを選ぶことで、より便利で経済的な生活を送れます。
» クレジットカードの審査基準と見られるポイントを解説
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